Material:月時館
Template:a dear friend
記憶に残るCWシナリオを人魚亭に集う
冒険者の手記として記録しました。
<< August 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>


★ ジェーンの三毛猫狂想曲
宿にはたくさんの依頼が舞い込む。けど、僕らが引き受ける依頼は、他の冒険者が引き受けないような仕事ばかりだった。腕の立つ戦士を装った機死兵がいるとはいえ、他の仲間は子供ばかり−そんな僕らにまともな依頼がくるはずもなかった。けれど、その頃の僕らはいっぱしの冒険者になったようで、面倒な依頼をそれなりに楽しんでこなしていたものだった。

「ってわけでさぁ……下水道に住み着いたネコどもを何とかしてほしいんだよ。どうせヒマな冒険者いんだろ?」
店内に大きな声が響いた。カウンター越しに親父さんと女の子が話している。依頼はどうやら下水道に住み着いたネコの退治のようだった。
「報酬ならあるぜ〜。屑鉄通りのみんなで出し合ったんだ」
そう言って女の子がポケットから掴みだした小銭をカウンターの上におくのが見えた。
「100SPか……。屑鉄通りの住民ならよく出せた方なんだろうが、その報酬であの小汚い下水道に入る連中など……」
そう言って親父さんが僕らのほうをちらっと見た。僕の向かいに座ったラルフが親父さんから急いで視線を逸らす。
「ねぇ チビッ子。その下水道にいっぱいいるネコって野良?」
店にいた山師の姉ちゃん−ジェーンが少女に声をかけた。ジェーンは少女としばらく話をしていたが、何かを思いついたらしく目をらんらんと輝かせて僕らのテーブルに歩み寄って来た。
「よし。あんたらアタシが400sp上乗せすっから依頼受けなさい!それならいいでしょ?」
ジューンは暇を持て余している僕らにそう言ったんだ。

ラルフはこの仕事に最後まで反対した。前に、グレン達と引き受けた下水道掃除の依頼が原因であることは容易に察しがついた。けど、アイリーンが上手にラルフを説得してくれて、僕らはこの依頼を引き受けることにしたんだ。けど、この依頼を引き受けると決まった後も、ラルフはいろんな理由をつけてなかなか動こうとしない。仕方なくウィルフレッドが操る機死兵が引きずるようにして、僕らは屑鉄通りにやってきた。乞食や物乞いを横目に僕らは下水道の入り口近くまでやってきた。
「さて、んじゃ今回の作戦をアンタ達に教えましょうか」
ジェーンはそう言って僕らに虫取り網を手渡した。
「ま、やる事は単純よ。下水道のネコをとっ捕まえてそこのペットショップで売るのよ」
「しかし……下水道の野良ネコをそう簡単に ペットショップは買取してくれるものでしょうか?」
機死兵を操るウィルフレッドがジェーンにそう言った。
「大丈夫なんじゃない?ネコなんてのは 犬と違って言うこと聞かなくてナンボよ。綺麗に洗えばそこそこ見れるでしょうし。それにね、ネコを店で買うヤツなんてのは大抵金持ちなんだから店の方も きっと結構な値段で買い取ってくれるわよ」
「……まぁけどね。500spに さらにネコの売上がプラスされるんでしょ?ネコを捕まえる報酬としては十分よ」
アイリーンはそう言ったけれど、僕らは念のため、まずそのペットショップで話を聞いてみることにしたんだ。

「……あら、お客さんが来るなんて珍しいわ。いらっしゃい。」
ペットショップ『淫らな雌猫』には、店員のおばさん一人だけだった。僕は物珍しさにペットショップを見回した。可愛いネコや犬が檻の中からこちらをじっとこちらを見ている。
「ねぇ、 あなた、かわいいわね。お名前は?」
そんな僕らに店員のおばさんが妖しい笑みを浮かべて話しかけてきた。
「俺?……ラルフだけど」
「そう、ラルフちゃんっていうのね。そうだ、おばさんがお小遣いをあげましょうね」
店のおばさんはそう言うとラルフを手招きした。ラルフが半歩下がる。けれど、アイリーンはラルフの肩をポンと叩くと前に押し出した。
「それじゃ、ラルフ。後はお願いね。ネコの買取の件、きちんと確認しておいてね。下水道の入り口で待っているから」
「えっ!!」
店のおばさんがラルフのことを気に入ってくれたのを見て、咄嗟にアイリーンはラルフに買取の交渉を任せることにしたのだ。こうしてラルフだけを残して僕らは店の外に出ることにした。暫くして、ラルフが店から出てきた。手にはネコじゃらしが握られている。恐らくはネコを捕まえるためにペットショップの店主から貰ったものだろう。その手でラルフが涙を拭うのが見えた。
「どうだった?」
「そこのペットショップでの買取は無理だった。けれど、買い取ってくれる冒険者の宿を紹介して貰った……」
アイリーンの問いに力なくラルフはそう答えた。
「何かあったの?」
僕は恐る恐るライフに聞いてみた。
「あのおばさん、余程、鬱憤が溜まっていたんだな。お前らが店を出て行ってから、面白くもない話をずっと聞かされてさ……。しかも、こちらの話なんか全く聞いてくれないし。おばさんの前ではあくびをかみ殺していたけれど、店を出た途端涙がでてきてしまったぜ」
僕の問いにラルフはそう答えた。けれど、これでネコの買取先も確保できた。後は下水道にいるネコをつかまえるだけだった。

「うっ……この臭い……!」
「大丈夫さ、すぐに慣れる」
下水道に足を踏み入れるなり、顔を顰めたウィルフレッドにラルフがそう言った。下水道の奥のからたくさんのネコの鳴き声が聞こえてくる……。
「一匹や二匹じゃないわよ コレ。い〜い?ネコを虫取り網とかスキルとかアイテムを使って捕まえるのよ?ボコっちゃダメだからね!」
ジェーンが僕らに念を押した。僕らはネコを探して下水道を奥のほうへと進んでいった。
「いた!」
暗闇でネコの目が光っている。しかし、ネコは逃げ足が速かった。虫取り網を振るう間もなく、逃げてしまう。このため、僕らは作戦をたてることにした。僕がまずネコじゃらしを振ってネコの気をひく。その隙に他の仲間が虫取り網でネコを捕まえるという方法だった。これが結構いい作戦で僕らは早速2匹のネコを捕まえることができた。途中下水道に救うネズミを片付けながら僕らはネコの姿を求めて、さらに下水道の奥へと進んでいった。
「あの滝のあたりから何か鈴のような音がします……」
突然、ウィルフレッドが足を止めた。機死兵に命じて、滝の中を調べさせたウィルフレッドは滝の中から不思議な鈴を見つけたのだった。
「どうやら この鈴が鳴っていたみたいですね」
「でも 滝の中にあったんだったら鈴の音って聞こえなくない?」
「水中にいても音を伝える魔法…というのはさほど難しい魔法では無かったはずです」
ジェーンの問いにウィルフレッドはそう答えた。その鈴には不思議な力があるようで、ネコが寄ってくるようになった。僕らはその後4匹のネコを捕まえた。さすがに、下水道に響いていたネコの声も聞こえなくなった。これで依頼は完了した−そう判断した僕らは下水道の出入り口まで戻ることにしたんだ。
「今度は無事依頼が達成できたね」
「そうだな……。けど、最後まで気は抜かないほうがいいぜ。下水道は古代文明の遺跡と繋がっているという話だからな……」
そして、そのラルフの言葉ははからずも現実のものになったんだ。

下水道に獣の叫び声が木霊した。
「な……何の音よ…今の…?」
ジェーンが思わず叫ぶ。下水道のちょうど出入り口のところにヤギとヘビの頭を持ったライオンが居座っているのが見えた。
「キマイラ!しかし、キマイラと言えば魔術で作る合成獣…それが どうしてこんな所に…?」
「どっかの無責任な飼い主が世話しきれなくなって捨てた……とかかしら?」
ジェーンの無責任な答えにウィルフレッドは首をうな垂れた。キマイラは 動こうとしない。こちらに気づいてはいないようだったが、出入り口を塞ぐように居座っているため、例え眠らせたとしても、脇をすり抜けて外に出ることは不可能だと思われた。
「機死兵がいれば、大丈夫よね。ミノタウロスとだって互角に戦えたんだもの」
「……キマイラは炎のブレスを吐きます。機死兵は大丈夫でも、私達はひとたまりもありませんよ」
アイリーンの問いにウィルフレッドはそう答えた。
「機死兵がキマイラを引きつけているその間に、皆がここから出るっていうのはどうだ?」
ラルフがそう言った。
「……でも機死兵はどうやってここから出るの?」
「機死兵はキマイラを怒らせて下水道を一周してくる。で、逃げながら最後にここに来てここから外に出るんだ」
「なるほど、冴えてるじゃない!」
「……それも難しいですね」
ラルフとジェーンのやりとりを聞いていたウィルフレッドが異を唱えた。一定の距離以上離れると機死兵を操ることができなくなるというのだ。しかも、キマイラのような怪物とやりあうには戦闘に集中する必要がある。ブレスを避けつつ、常に一定の距離を保ちながら、戦闘に集中するのは至難の業だというのだ。
「だったら、お前が一定の距離を保って戦えるようサポートする奴がいればいいんだな?」
ラルフがそう言った。全員が互いの顔を見合わせた。ウィルフレッドをサポートできる敏捷さと危険を察知する能力がありそうな者−それはラルフしかいなかった……。

「んじゃ い〜い?下水道をぐるっと回ってくるのよ。アタシらは反対側に隠れていて、適当な距離まで離れたら脱出するからね?」
「畜生、今日は厄日だ!!」
ラルフがそう毒づいた。一方、ウィルフレッドは戦闘を前に神経を集中させているようだった。準備を整えるとラルフはそこらへんにあった石を掴んでキマイラに向かって投げつけた!
「さぁ、来い 三つ首野郎!」
キマイラは咆哮をあげるとラルフ達に向かって 突進していった。機死兵が突進してきたキマイラを両手で受け止めると、力ずくで引き倒した。
「逃げるぜ。ウィルフレッド」
ラルフはそう言うとウィルフレッドを引き連れて下水道の奥へと駆け出した。キマイラが逃げるラルフ達に向かって炎を吹く。炎はラルフ達には届かなかった。そして、キマイラはラルフ達を追って下水道の奥へと姿を消したんだ。
「機死兵が操り辛い。もっと近づくぞ、ラルフ。……近づきすぎだ!!……わ!! 服に火がついた……馬鹿野郎!! 下水で火を消すな」
「文句ばっかいいやがって!!」
そんな二人の声だけが暗い下水道に反響して聞こえてくる。
「大丈夫かな? あの二人……」
「今更どうしようもないでしょ。後はよろしくね〜」
ジェーンは下水道の奥に向かって、そう大声でそう叫んだ。僕らは先に地上に出ると、二人と機死兵がでてくるのをじっと待った……。ほどなくしてラルフとウィルフレッド、そして機死兵が下水道から飛び出してきた。二人は地上に出てくるなり、その場に崩れ落ちた。二人とも汚水まみれで、服はあちこち焼け焦げていた。
「くそ、死ぬかと思った……!」
ラルフはそういうと通りの真ん中で大の字になった。見上げると、雲一つない青空が広がっていた。

汚水を近くの川で洗い流すと、嫌がるネコを綺麗に洗うという作業に僕らはとりかかった。ネコはそこそこの値段で買い取ってもらえた。キマイラのことは僕らじゃ手に負えないので、帰りに清掃局に報告しておいた。宿に戻ってみると親父さんと灰緑色のマントを身に纏った魔術師がカウンター越しに話しをしていた。
「お前ら下水道に行って来たんだろ?この方が下水道に 魔法の鈴を落としてしまってな。うちに依頼に来たんだが、それらしい物はなかったか?」
「鈴ってアレの事じゃないの?ほら、下水の中に落ちてたヤツ」
ジェーンがそう言うと例の鈴が勝手に鳴った。
「おお、それこそワシの作った『ネコ集め鈴』!よかった、早々と見つかって…ありがとうございました」
こうして僕らは魔術師から300sp手に入れた。
「どうやら下水道のネコ発生はあの爺さんの作った鈴のせいだったみたいね」
「まぁ、これでネコもすぐいなくなるさ」
僕らは店にしたネコの退治を依頼した少女に簡単な報告し100spを受け取った。
「最初こんな奴等で大丈夫かと思ったけど曲がりなりにも冒険者だよな、見直したぜ」
少女は僕らにそう言ってくれた。
「それで、何があったんだ?その様子じゃ、ただ 下水道でネコ追い掛け回してたわけじゃあるまい?」
依頼を終えた僕らに店の親父さんがそうそう言った。
「その話をする前に揚げジャガでも作ってよ」
「あら良いわね〜。アタシもゴチになろうかしら」
「わかったわかった。金は入ったんだろうな?食べ物のツケは効かんからな」
親父さんのその言葉に、僕らはこの仕事で手に入れた報酬を取り出してみせたんだ。

依頼はそれなりに大変だったけど、結構稼ぐことができた。けれど、ラルフとウィルフレッドは顔を合わせる度に、喧嘩するようになってしまった。店の親父さんに言わせると犬猿の仲というらしい。死線を乗り越えた仲間は絆が強くなるという言葉を聞いたことがあるけれど、この二人は違ったみたいだ。この依頼の数日後、グレン達が町に戻ってきた。また、いつも通りの日々が始まる−僕はそう思っていた……。

***********************************
参考とさせて頂いたシナリオ
シナリオ名: 『 ジェーンの三毛猫狂想曲』 ver.0.9825 製作者:じぇんつ様
groupAsk official fansite「寝る前サクッとカードワース_vol.2」より

2007.05.06 Sunday 13:06
[ロックの手記] -
★ 山師の女×機甲の兵士×人形使いの少年(その2)
グレン達は好事家アルブの依頼で長旅にでている。子供たちだけのパーティに依頼しようという物好きな大人がいるはずもなく、僕と兄のラルフ、アイリーンは暇を持て余していた。人形使い−古代文明の遺産である機甲の兵士『機死兵』を操る少年と町で偶然であった僕らは、機死兵を大人に見せかけて、人魚亭の親父さんから依頼を紹介してもらうことに成功した。『お金欲しくて命がいらない人 大募集!』−そう書かれた依頼書に目を留めた僕らは依頼人であるジェーンから詳しい内容を聞いてみることにしたんだ。ジェーンの依頼とは、簡単に言えば雑草の採取だった。近く不治の病の特効薬ができるのだが、その特効薬の材料には魔物の住む森にしか生えない雑草が必要不可欠である。今ならただ同然で入手できるその雑草を大量に入手して、特効薬が出来た時に高値で売りさばこうというのがジェーンの計画だった。考えてみれば怪しい話ではあるけれど、僕らはジェーンの口車に乗せられて、この依頼を引き請けることにしたんだ。

森の入り口でゴブリンを退治すると、さらに森の奥に進んだ僕らは、目的の雑草の群生地を探し当てた。そこには数匹のコボルトがいたんだけど、それらを簡単に片付けて、僕らは雑草の採取を始めた。雑草の採取に気をとられた僕らは、コボルトの集団に囲まれていることに気づいていなかった。ジェーンが最初に捕まって人質となり、僕らは全員コボルトに捕えられてしまったんだ。
「貴様ら、噂に聞く冒険者か?たったそれだけの人数で、我々を討ち取りにきたか」
縛られて身動きのできない状態でコボルトの達の前に引き出された僕らはコボルトの酋長の詮議を受けることになった。酋長を前にして、突然ジェーンが泣き出した。
「お、おねげぇだ!殺さないでくんろ。おら達ぁ、ただの農民だぁ!」
「む。貴様らは、冒険者では無いと言うのか?」
「おら達は、おっかあの病気っこ治す薬、取りさ来ただけだぁ」
あっけにとられている僕らを尻目に、酋長に向かってジェーンは地面に頭を擦り付けて土下座した。
(ほら!見てないで あんた達も土下座するのよ!)−ジェーンが僕を小突いた。
(冗談じゃない!!なんでコボルトに頭さげなきゃいけないんだ)
僕はそう思ったが、驚いたことに大人しくそれに従ったのがウィルフレッドだった。
(私たちは依頼人に雇われた冒険者−依頼人の安全確保が第一だろう。それに……私にはまだ為さねばならないことがある)
ウィルフレッドがそう囁いた。
『ふざけるのも大概にしろ。これは遊びじゃないんだぞ』−グレンの言葉がふいに蘇ってきた。僕らは大人しくジェーンに従った。
「貴様らはどうやら我々の敵−冒険者ではないようだ。戦えぬ者を殺すのは、我は好まぬ。だが、ただで帰すわけにはいかん。少し我々に協力してもらおうか」
土下座する僕らを見て、酋長はこう言い放ったんだ。

「なるほど。僕らに用心棒の代わりをしろってことか」
僕はコボルトの酋長にそう言った。この森にはコボルトだけでなく、ゴブリンも暮らしている。これから行われる両者の話し合いに、僕らは同行することになった。いつも大勢で、しかも用心棒を連れてくるゴブリンと対抗するためだと、酋長が説明してくれた。
「冒険者のふりをしてただ座っているだけで構わん。奴らも冒険者は恐れているはずだ。……見えてきたぞ」
会合の場所には、数匹のホブゴブリンを従えたゴブリンロードが待ち構えていた。
「遅かったな 犬っころ!恐くなって逃げ出したかと思ったぜ!」
開口一番、ゴブリンロードはコボルトの酋長をそう言って鼻で笑った。しかし、僕ら−恐らくは機死兵の存在に気が付くと、ゴブリンロードの表情が険しくなった。
「て、テメエ!!そいつ等 冒険者じゃねえのか!?やるってんなら、受けて立つぜ!!」
「……我々は決闘をしに来たのではない。話し合いを始めよう」
こうしてゴブリンとコボルトの話し合いが始まった。けれど、話し合いはなかなか終わらなかった。狭い土地をどちらがどう使うかという話を延々と繰り返している。
「ねぇ、森はもっと広いはずだけど、なんでそんな狭い場所にこだわるの?」
我慢できなくなったのか、ゴブリンとコボルトの話し合いにアイリーンが口を挟んだ。
「……この森の主は俺達じゃねぇ。この森の大半はあいつのモンだからさ」
ゴブリンロードはアイリーンを睨んではいたが、その問いには素直に答えてくれた。詳しい話を聞いてみるとその『森の主』にゴブリンもコボルトも住む場所を追われてしまったらしい。しかも、獲物の数もどんどん減ってきている。その『森の主』が、皆食い尽くしてしまうとのことだった。
「なぜ、そいつと戦わないの?」
「戦力が足りねぇ」
「協力すれば?」
「こんな、犬っころとか?」
「僕らも手伝うよ。人間、コボルト、ゴブリン−協力すればどんな奴でもきっと勝てるさ」
僕がそう言うとゴブリンロードとコボルトの酋長は顔を見合わせた。
「この人間の言うことにも一理あるな」
コボルトの酋長の言葉に、ゴブリンロードは暫く黙って考えていたが、徐に立ち上がった。
「よし、わかった。戦の準備を急がせよう。行くぞ お前ら!」
コボルトと協力して森の主を倒すことを決めたゴブリンロードは戦いの準備のため、ホブゴブリンを引き連れてその場から立ち去った。
「……すまんな、貴様達を巻き込んしまうことになってしまった」
「気にしないで。冒険者をやっていればこんなこともあるよ」
「ば、バカっ……!!」
ジェーンはアイリーンの言葉を何とか取り繕うとしたが、コボルトの酋長は僕らが冒険者だと気が付いていたようだった。コボルトの酋長は、意を決して立ち上がった
「やはり冒険者だったか。だが、そんな事はどうでもいい。この戦に勝つ事が第一だからな。貴様達の力、頼りにしているぞ」

草陰に身を隠して待ち構える僕らの前に、ついに『森の主』が姿を現した。それは何と牛の頭を持つ怪物−ミノタウロスだった。
「コレより、奇襲攻撃を敢行する!」
ゴブリンロードがそう叫んだ。それを合図に取り囲んだコボルトが矢をいかけ、ゴブリン達が四方から切りつける。だが、ミノタウロスは強かった。まるで子供を相手にしているように、ゴブリンやコボルトをなぎ倒していく。
「怯むな!全軍、突撃〜〜!!!」
コボルトの酋長の掛け声と共に僕たちも戦闘に加わった。
「自分の身は自分で守れよ」
ウィルフレッドは僕らにそういい放つと、両手を伸ばし奇妙な印を形作った。それを合図に、機死兵がミノタウロスに突進する。速い!−森の入り口でゴブリンと戦った時とは動きが全く違う。機死兵が大斧でミノタウロスに切りかかった。ミノタウロスはその攻撃を受け止めると、力ずくで押し返した。堪らず、機死兵は一旦ミノタウロスと距離をとる。その機死兵にミノタウロスが突進してきた。機死兵はミノタウロスを両手で受け止めると、力ずくで引き倒した。
「すごい。熟練の冒険者でも数人がかりでないと倒せないミノタウロスと互角に戦っている」
「……そうでもないぜ」
ラルフはウィルフレッドのほうを見るよう僕に促した。ミノタウロスと機死兵の戦闘に気を取られていて気が付かなかったが、機死兵を操っているウィルフレッドの額からは、滝のような汗が噴き出している。肩で息をしており、今にも倒れそうてしまいそうだった。
「ウィルフレッド、加勢してやるからミノタウロスをこっちにおびき寄せろ」
ウィルフレッドが険しい目つきでラルフを見た。
(お前たちの力なんか当てになるか!!)−口には出さなかったけれど、その目つきがそう言っていた。そんなウィルフレッドをラルフは黙って睨み返した。
「仕掛けるぞ!」
ウィルフレッドがそう言ってふいに笑った。それと共に僕たちと距離をとって戦っていた機死兵が、僕らのすぐ間近まで退いた。
「俺だって、いつまでも役立たずの餓鬼じゃねぇ!!」
ラルフは渾身の力をこめて投射用の武器を突進してくるミノタウロス向かった投げつけた。武器は大きな弧を描き、死角からミノタウロスに襲い掛かる。
「ヴッモー!!」
ミノタウロスが苦悶の声を上げた。ミノタウロスの右足に深々と刃が突き刺さったからだ。突進してきたミノタウロスは堪らず大きくバランスを崩して、顔面から倒れこんだ。機死兵はその瞬間を逃さなかった。大斧を振りかざすと、ミノタウロスの頭を一撃で切り落としたんだ。

「世話になったな」
森の入り口でコボルトの酋長が僕らを見送ってくれた。僕らは酋長に別れを告げると森を後にした。
「よく考えれば、すごい体験をしたんだよね」
アイリーンの言葉に全員が頷いた。
「目的の雑草も袋一杯貰ったし、何も言う事はないわね」
ジェーンも満足そうだった。
「そう言えば、報酬のことだけど……」
「忘れてたわね。草の売り上げの40%を報酬として用意するつもりよ。それでいいでしょ?」
僕らはそれで手を打つことにしたんだ。

人魚亭に戻った僕らは、ゴブリンとコボルトと協力してミノタウロスを倒したことを店の親父さんに語って聞かせた。けれど、親父さんは夢でもみたんだろうと言ってまるで信じてはくれなかった。
「信じてよ!本当なんだから」
「信じられる訳ないだろうが!コボルトやゴブリンと仲良しこよしなど!」
それが親父さんの言葉だった。
「しかも何だジェーン。そんな草なんか取ってきて」
「あら?おっさんともあろう人が、知らないの?この雑草から不治の病の特効薬ができるって話を」
「……その草じゃないぞ、ジェーン」
「えっ!ウソ……あれ?」
ジェーンが入手した情報は出たら目であることを僕らは知った。
「じゃあ、ボクたちは何の為にコボルトに頭を下げて……」
目の前が真っ暗になった。僕らは結局、ただ働きさせられただけだった。けれど、僕らはこの後も何度かジェーンの依頼を引き受けることになる。だって、一攫千金は冒険者の夢なんだから……。

***********************************
参考とさせて頂いたシナリオ
シナリオ名: 『 ジェーンと一緒 』 ver.1.5 製作者:じぇんつ様
groupAsk official fansite「寝る前サクッとカードワース_vol.3」より

2007.03.17 Saturday 17:46
[ロックの手記] -
★ 山師の女×機甲の兵士×人形使いの少年(その1)
「昔話書いているなんて、爺くさい!」
グレンが手記を書いているのを見て、そう思っていた。だが、グレンの駆け出しの頃を記した手記を読んでいる内に、昔のことが鮮明に蘇ってきた。いつも腹をすかせてはいたが、なぜかとても楽しかったあの頃−魔槍使いのスレイ−そう呼ばれたあの人がいた頃のことが……

「親父さん、今日も僕らに依頼を紹介してくれなかったね……」
僕は後ろを振り返って、後をついてくるアイリーンとラルフにそう言った。
「けど、これをくれたよ」
アイリーンは腕に抱えた果物を嬉しそうに持ち上げてみせた。皿洗いと店の掃除を手伝った僕らに親父さんが分けてくれたものだった。
「まぁ、仕方ないんじゃない。金まで払って子供にゴブリンを退治してくださいって頼む大人がいるはずないしね……」
ラルフが果物にかぶりつきながら、そう言った。グレン達は好事家アルブとかいう貴族のとんでもない依頼で長旅にでていた。子供たちだけのパーティに依頼しようという物好きな大人がいるはずもなく、僕らは暇を持て余していた。
「あれ、何?」
小さな路地を通り過ぎようとした時だった。アイリーンが突然立ち止まり、路地の奥の方を指差した。鎧を身につけた人が倒れている−だが、近寄ってみると、それは人ではなく、骸骨の仮面をつけた金属でできた人形であった。
「これって何だろう?」
「結構値打ち者かもしれないぜ」
そう言ってラルフがその鉄人形に触れようとした時だった。
「触れるな!」
路地の奥に一人の子供が立っていた。年齢は僕らと同じくらいだろう。だが、チビと呼ばれることの多い僕と背丈は同じくらい−いや、僕のほうがわずかに背が高い。目が大きく一見すると少女に見えなくもない。黒衣に身をつつみ、頭には鮮やかな蒼色の布を巻きつけていた。
「誰?」
「私はウィルフレッド。正統なる人形使いの血筋を継ぐものだ」
僕の問いに少年はそう答えた。
「人形使いって……この鉄人形を動かせるの?」
「これは古代文明の遺産である鋼で作られた機甲の兵士『機死兵』というものだ。それを魔力で操り自在に操るものを人形使いというのだ」
そのウィルフレッドと名乗る少年は腕を組み、さも自慢げにそう答えた。
「偉そうに……。じゃあ、何でこれがこんなところに倒れているんだよ?」
ラルフがそう言った。
「それは……その……これを動かすには相当の集中力が必要で……『グー』……」
ウォルフレッドのお腹がなった。
「な〜んだ。お腹すいているんだ。じゃあ、これ食べる?」
そう言ってアイリーンは親父さんから貰った果物をウィルフレッドに差し出した。
「いいのか?」
アイリーンが頷くと、ウィルフレッドはそれにかぶりついた。
「その代わりと言っては何なんだけど……お願いがあるんだ」
アイリーンはそう言うと、天使のような笑みを浮かべたんだ。

店の親父さんに見えないように、ウィルフレッドが呪文を描くと『機死兵』が喋り出した。
「依頼を紹介シテ欲しいのだが……」
「……新顔だね」
マントをかぶせ、目深にフードを下した『機死兵』を見て親父さんはそう言った。確かに、アイリーンの言う通り顔さえみえなければ、鎧を着けた大人に見える。ウィルフレッドは再び、『機死兵』に向かって呪文を描いた。
「我が名ハ、アギュートス」
「悪いが、フードを上げて、顔を確認させて貰えるかい?腕が立つなら誰でも構わないという依頼もあるんだが、お尋ね者に仕事をまわす訳にはいかないのでね」
僕らは顔を見合わせた。一瞬考えた後、ウィルフレッドは意を決して『機死兵』にフードの裾を少しだけ上げさせた。フードの下から白い骸骨の口が覗く。
「あ、あんた一体……?」
「彼はある城での戦いに参加しました。敵はその城の補給路を断つという戦法を取ったそうです。食うや食わずの日が何日も続きました。頬は削げ落ち、目は落ち窪み、彼だけでなく、その戦いに加わった者達すべてが激しい飢えと乾きに曝されました。彼は結局、生き延びることができました。けれど、戦いの前の容姿は二度と取り戻すことが出来なかったそうです」
ウィルフレッドは悲痛な面持ちで店の親父にそう言った。こいつ結構、芝居がうまい!
「あんたは?」
「私はウィルフレッド。見識を深めるために、彼と共に各地を旅している者です」
「頼ム」
『機死兵』は親父さんに向かってカウンターで頭が見えなくなるくらい深々と頭をさげた。頭が鎧から落ちそうになって、僕はカウンター下に滑り込むと『機死兵』の頭を素早く支えた。
「……お前達がこの人達と一緒に依頼をこなすのか?」
親父さんがラルフたちのほうを見た。ラルフとアイリーンが何度も大きく頷く。その隙にウィルフレッドに合図して『機死兵』の頭を元に戻すと、フードを目深に被せ、素早くカウンターの下に姿を隠した。……どうやらばれずに済んだようだ。それが証拠に親父さんは渋い顔をしていたが、依頼書の束の中から、新米の冒険者がこなせそうな依頼書をいくつか選び出してくれた。
「けど、あんた。子供ばっかりのパーティで大丈夫かい?」
「大丈夫ダ……」
親父さんが肩を竦めて側を離れると、僕らは『機死兵』の肩越しに依頼書を覗き込んだ。ゴブリン退治に隣町までのお使い−そんな依頼書の中で、僕はある依頼書に目が留まった。
『お金欲しくて命がいらない人 大募集!誰にでも出来る簡単な仕事です。詳細はジェーンまで』−ずいぶんと簡単なことしか書いていない依頼書だった。
「ああ、それか。ジェーンが、またろくでもない事考えているんだろうよ」
「親父さん、このジェーンって人、知ってるの?」
「ああ……」
このジェーンという人は、定職につくわけでもなく、いつまでも一攫千金を夢見てふらふらしている女性であることを店の親父さんは僕らに教えてくれた。
「一攫千金か……それができたら苦労は無いんだけどな」
ラルフがそう呟いた時だった。真っ赤な服を着たど派手な姉ちゃんが、人魚亭の扉を開けて飛び込んできた。
「いや〜危なかった。今度ばっかりは死ぬかと思ったわ」
「ぬ、ジェーン!また なんかしでかしてきたのか?」
「ま〜ね。盗賊ギルドにでっちあげの宝の地図売りに行ったら即バレでさ〜あやうく殺されかけたわ」
「いい加減ちゃんとした職を探せ。お袋さん、怒っていたぞ」
「気にしない気にしない。それより今回の仕事が『また』大もうけ出来そうでさ。誰か手伝ってくれそうな冒険者いない?」
ジェーン−親父さんにそう呼ばれたその姉ちゃんは僕らのチラッと見た。僕らは取り敢えず仕事の内容だけでも聞いてみることにしたんだ。

「いや〜助かったわ。この仕事は一人じゃちょっと辛かったのよ」
ジェーンは僕らにそう言った。ジェーンの依頼とは、簡単に言えば雑草の採取だった。近く不治の病の特効薬ができるのだが、その特効薬の材料には魔物の住む森にしか生えない雑草が必要不可欠である。今ならただ同然で入手できるその雑草を大量に入手して、特効薬が出来た時に高値で売りさばこうというのがジェーンの計画だった。考えてみれば怪しい話ではあるけれど、僕らはジェーンの口車に乗せられて、この依頼を引き請けることにしたんだ。

「ここは昔っからゴブリンとかコボルトが住み着いてるらしくて付近の村人も近寄らないの」
森の入り口に到着するとジェーンがそう言った。僕らは森の奥へと進みながら、目的の雑草を探し始めた。わずかではあったけれど、森に入ってすぐに目的の雑草が見つかった。期待をこめてさらに森の奥に進んでいくと、僕らはゴブリンと出くわしたんだ。
「ウガァッ!!」
ゴブリンが襲い掛かってきた。ラルフが鋭利な三枚の刃を連ねた投擲武器を投げつける。2体のゴブリンには避けられたが、1体のゴブリンに手傷を負わせて、武器はラルフの手元に戻ってきた。その隙に、僕はナイフを、アイリーンは石をひろうとスリングに装填して勢いよく回し始めた。
「な……、何やっているんだ!!」
ウィルフレッドが叫んだ。
「何って?」
「それで本気でゴブリンと戦うつもりなのか?冗談だろう」
「そう言うけど、大人用の武器じゃ重くて満足に戦えないんだから仕方ないだろう」
気が付くと僕のすぐ目の前にゴブリンが立っていた。
「しまった!」
ゴブリンが剣を振り上げるのが見えた。次の瞬間、機死兵が大斧でゴブリンの胴体を真っ二つに切り裂いた。その直後、風を切る音に続いて骨を砕く鈍い音がした。音がした方向を見ると、スリングに額を割られたゴブリンが倒れていた。2匹のゴブリンが倒されたのを見ると、最後のゴブリンはあわててその場から逃げていった。
「へー、器用ね」
「勢いよく振り回すと結構威力があるんだ、この武器。当てるのが難しいから結構練習したんだけどね……」
ジェーンにアイリーンはそう答えた。
「いつまでも馬鹿面してんなよ。とっとと行くぞ」
ぼかんと口を開けているウィルフレッドにラルフがそう言って蹴りをいれた。

***********************************
参考とさせて頂いたシナリオ
シナリオ名: 『 ジェーンと一緒 』 ver.1.5 製作者:じぇんつ様
groupAsk official fansite「寝る前サクッとカードワース_vol.3」より

2007.03.11 Sunday 00:43
[ロックの手記] -
1/1PAGES