Material:月時館
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記憶に残るCWシナリオを人魚亭に集う
冒険者の手記として記録しました。
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★ 山師の女×機甲の兵士×人形使いの少年(その2)
グレン達は好事家アルブの依頼で長旅にでている。子供たちだけのパーティに依頼しようという物好きな大人がいるはずもなく、僕と兄のラルフ、アイリーンは暇を持て余していた。人形使い−古代文明の遺産である機甲の兵士『機死兵』を操る少年と町で偶然であった僕らは、機死兵を大人に見せかけて、人魚亭の親父さんから依頼を紹介してもらうことに成功した。『お金欲しくて命がいらない人 大募集!』−そう書かれた依頼書に目を留めた僕らは依頼人であるジェーンから詳しい内容を聞いてみることにしたんだ。ジェーンの依頼とは、簡単に言えば雑草の採取だった。近く不治の病の特効薬ができるのだが、その特効薬の材料には魔物の住む森にしか生えない雑草が必要不可欠である。今ならただ同然で入手できるその雑草を大量に入手して、特効薬が出来た時に高値で売りさばこうというのがジェーンの計画だった。考えてみれば怪しい話ではあるけれど、僕らはジェーンの口車に乗せられて、この依頼を引き請けることにしたんだ。

森の入り口でゴブリンを退治すると、さらに森の奥に進んだ僕らは、目的の雑草の群生地を探し当てた。そこには数匹のコボルトがいたんだけど、それらを簡単に片付けて、僕らは雑草の採取を始めた。雑草の採取に気をとられた僕らは、コボルトの集団に囲まれていることに気づいていなかった。ジェーンが最初に捕まって人質となり、僕らは全員コボルトに捕えられてしまったんだ。
「貴様ら、噂に聞く冒険者か?たったそれだけの人数で、我々を討ち取りにきたか」
縛られて身動きのできない状態でコボルトの達の前に引き出された僕らはコボルトの酋長の詮議を受けることになった。酋長を前にして、突然ジェーンが泣き出した。
「お、おねげぇだ!殺さないでくんろ。おら達ぁ、ただの農民だぁ!」
「む。貴様らは、冒険者では無いと言うのか?」
「おら達は、おっかあの病気っこ治す薬、取りさ来ただけだぁ」
あっけにとられている僕らを尻目に、酋長に向かってジェーンは地面に頭を擦り付けて土下座した。
(ほら!見てないで あんた達も土下座するのよ!)−ジェーンが僕を小突いた。
(冗談じゃない!!なんでコボルトに頭さげなきゃいけないんだ)
僕はそう思ったが、驚いたことに大人しくそれに従ったのがウィルフレッドだった。
(私たちは依頼人に雇われた冒険者−依頼人の安全確保が第一だろう。それに……私にはまだ為さねばならないことがある)
ウィルフレッドがそう囁いた。
『ふざけるのも大概にしろ。これは遊びじゃないんだぞ』−グレンの言葉がふいに蘇ってきた。僕らは大人しくジェーンに従った。
「貴様らはどうやら我々の敵−冒険者ではないようだ。戦えぬ者を殺すのは、我は好まぬ。だが、ただで帰すわけにはいかん。少し我々に協力してもらおうか」
土下座する僕らを見て、酋長はこう言い放ったんだ。

「なるほど。僕らに用心棒の代わりをしろってことか」
僕はコボルトの酋長にそう言った。この森にはコボルトだけでなく、ゴブリンも暮らしている。これから行われる両者の話し合いに、僕らは同行することになった。いつも大勢で、しかも用心棒を連れてくるゴブリンと対抗するためだと、酋長が説明してくれた。
「冒険者のふりをしてただ座っているだけで構わん。奴らも冒険者は恐れているはずだ。……見えてきたぞ」
会合の場所には、数匹のホブゴブリンを従えたゴブリンロードが待ち構えていた。
「遅かったな 犬っころ!恐くなって逃げ出したかと思ったぜ!」
開口一番、ゴブリンロードはコボルトの酋長をそう言って鼻で笑った。しかし、僕ら−恐らくは機死兵の存在に気が付くと、ゴブリンロードの表情が険しくなった。
「て、テメエ!!そいつ等 冒険者じゃねえのか!?やるってんなら、受けて立つぜ!!」
「……我々は決闘をしに来たのではない。話し合いを始めよう」
こうしてゴブリンとコボルトの話し合いが始まった。けれど、話し合いはなかなか終わらなかった。狭い土地をどちらがどう使うかという話を延々と繰り返している。
「ねぇ、森はもっと広いはずだけど、なんでそんな狭い場所にこだわるの?」
我慢できなくなったのか、ゴブリンとコボルトの話し合いにアイリーンが口を挟んだ。
「……この森の主は俺達じゃねぇ。この森の大半はあいつのモンだからさ」
ゴブリンロードはアイリーンを睨んではいたが、その問いには素直に答えてくれた。詳しい話を聞いてみるとその『森の主』にゴブリンもコボルトも住む場所を追われてしまったらしい。しかも、獲物の数もどんどん減ってきている。その『森の主』が、皆食い尽くしてしまうとのことだった。
「なぜ、そいつと戦わないの?」
「戦力が足りねぇ」
「協力すれば?」
「こんな、犬っころとか?」
「僕らも手伝うよ。人間、コボルト、ゴブリン−協力すればどんな奴でもきっと勝てるさ」
僕がそう言うとゴブリンロードとコボルトの酋長は顔を見合わせた。
「この人間の言うことにも一理あるな」
コボルトの酋長の言葉に、ゴブリンロードは暫く黙って考えていたが、徐に立ち上がった。
「よし、わかった。戦の準備を急がせよう。行くぞ お前ら!」
コボルトと協力して森の主を倒すことを決めたゴブリンロードは戦いの準備のため、ホブゴブリンを引き連れてその場から立ち去った。
「……すまんな、貴様達を巻き込んしまうことになってしまった」
「気にしないで。冒険者をやっていればこんなこともあるよ」
「ば、バカっ……!!」
ジェーンはアイリーンの言葉を何とか取り繕うとしたが、コボルトの酋長は僕らが冒険者だと気が付いていたようだった。コボルトの酋長は、意を決して立ち上がった
「やはり冒険者だったか。だが、そんな事はどうでもいい。この戦に勝つ事が第一だからな。貴様達の力、頼りにしているぞ」

草陰に身を隠して待ち構える僕らの前に、ついに『森の主』が姿を現した。それは何と牛の頭を持つ怪物−ミノタウロスだった。
「コレより、奇襲攻撃を敢行する!」
ゴブリンロードがそう叫んだ。それを合図に取り囲んだコボルトが矢をいかけ、ゴブリン達が四方から切りつける。だが、ミノタウロスは強かった。まるで子供を相手にしているように、ゴブリンやコボルトをなぎ倒していく。
「怯むな!全軍、突撃〜〜!!!」
コボルトの酋長の掛け声と共に僕たちも戦闘に加わった。
「自分の身は自分で守れよ」
ウィルフレッドは僕らにそういい放つと、両手を伸ばし奇妙な印を形作った。それを合図に、機死兵がミノタウロスに突進する。速い!−森の入り口でゴブリンと戦った時とは動きが全く違う。機死兵が大斧でミノタウロスに切りかかった。ミノタウロスはその攻撃を受け止めると、力ずくで押し返した。堪らず、機死兵は一旦ミノタウロスと距離をとる。その機死兵にミノタウロスが突進してきた。機死兵はミノタウロスを両手で受け止めると、力ずくで引き倒した。
「すごい。熟練の冒険者でも数人がかりでないと倒せないミノタウロスと互角に戦っている」
「……そうでもないぜ」
ラルフはウィルフレッドのほうを見るよう僕に促した。ミノタウロスと機死兵の戦闘に気を取られていて気が付かなかったが、機死兵を操っているウィルフレッドの額からは、滝のような汗が噴き出している。肩で息をしており、今にも倒れそうてしまいそうだった。
「ウィルフレッド、加勢してやるからミノタウロスをこっちにおびき寄せろ」
ウィルフレッドが険しい目つきでラルフを見た。
(お前たちの力なんか当てになるか!!)−口には出さなかったけれど、その目つきがそう言っていた。そんなウィルフレッドをラルフは黙って睨み返した。
「仕掛けるぞ!」
ウィルフレッドがそう言ってふいに笑った。それと共に僕たちと距離をとって戦っていた機死兵が、僕らのすぐ間近まで退いた。
「俺だって、いつまでも役立たずの餓鬼じゃねぇ!!」
ラルフは渾身の力をこめて投射用の武器を突進してくるミノタウロス向かった投げつけた。武器は大きな弧を描き、死角からミノタウロスに襲い掛かる。
「ヴッモー!!」
ミノタウロスが苦悶の声を上げた。ミノタウロスの右足に深々と刃が突き刺さったからだ。突進してきたミノタウロスは堪らず大きくバランスを崩して、顔面から倒れこんだ。機死兵はその瞬間を逃さなかった。大斧を振りかざすと、ミノタウロスの頭を一撃で切り落としたんだ。

「世話になったな」
森の入り口でコボルトの酋長が僕らを見送ってくれた。僕らは酋長に別れを告げると森を後にした。
「よく考えれば、すごい体験をしたんだよね」
アイリーンの言葉に全員が頷いた。
「目的の雑草も袋一杯貰ったし、何も言う事はないわね」
ジェーンも満足そうだった。
「そう言えば、報酬のことだけど……」
「忘れてたわね。草の売り上げの40%を報酬として用意するつもりよ。それでいいでしょ?」
僕らはそれで手を打つことにしたんだ。

人魚亭に戻った僕らは、ゴブリンとコボルトと協力してミノタウロスを倒したことを店の親父さんに語って聞かせた。けれど、親父さんは夢でもみたんだろうと言ってまるで信じてはくれなかった。
「信じてよ!本当なんだから」
「信じられる訳ないだろうが!コボルトやゴブリンと仲良しこよしなど!」
それが親父さんの言葉だった。
「しかも何だジェーン。そんな草なんか取ってきて」
「あら?おっさんともあろう人が、知らないの?この雑草から不治の病の特効薬ができるって話を」
「……その草じゃないぞ、ジェーン」
「えっ!ウソ……あれ?」
ジェーンが入手した情報は出たら目であることを僕らは知った。
「じゃあ、ボクたちは何の為にコボルトに頭を下げて……」
目の前が真っ暗になった。僕らは結局、ただ働きさせられただけだった。けれど、僕らはこの後も何度かジェーンの依頼を引き受けることになる。だって、一攫千金は冒険者の夢なんだから……。

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参考とさせて頂いたシナリオ
シナリオ名: 『 ジェーンと一緒 』 ver.1.5 製作者:じぇんつ様
groupAsk official fansite「寝る前サクッとカードワース_vol.3」より

2007.03.17 Saturday 17:46
[ロックの手記] -